上田一生先生からのメッセージ


2007.11.25 マリンピア松島水族館80周年記念・上田一生先生講演会

〜ペンギンの目から地球を考える(講演内容 記録)

 

世界に18種類いるペンギンは、一生陸地には上がることがないペンギンから、熱帯や山や森にまで生息地が広がっています。その環境の温度差はマイナス60度からプラス40度。それだけ、ペンギンはいろんな場所で生活しています。

 

現在、人間は、いろんなところにいるペンギンにいろんな影響を与えています。

 

海域温度の影響をうけるキングペンギン。
砂漠に雨がふり、ケープペンギンに…。
山火事でコガタペンギンに…。
海流の温度差がガラパゴスペンギンを…。
繁殖地を次第に北へと移動するマゼランペンギン。

 

南極では、宮城県の1.5倍もある氷山が漂流したり、棚氷が崩壊して、アデリー、エンペラーが繁殖地を放棄したり、親ペンギンが子育てをあきらめたりしています。その被害は、アデリーペンギン32のコロニーがなくなり、42万羽の被害。エンペラーペンギンで12のコロニーが消滅、死滅し、産毛のヒナが全死、8万5千羽に影響を与え、しばらく、子育てできない状態です。
ただ、アデリー、エンペラーともにとてもうまく環境に適応してきたペンギンなので、希望は持ちたいと、上田先生は切に話してくれました。

 

地球は、ラニーニャとエルニーニョという自然現象の絶妙な交代バランスの元に成り立ってきましたが、近年、ラニーニャが少なくエルニーニョが多くなるというリズムで地球の歩調がとられようとしています。(日本は、エルニーニョの年は、温かく感じます)
自然現象であるエルニーニョに人間が入りすぎてしまいました。
それは、地球温暖化のスイッチが入れらたという事です。

 

ラブロックという科学者のガイヤ仮説で考えると、温暖化はスピードがつくと、とまる事がなく、今、私たちが、温暖化に影響することをすべてやめたとしても、2℃あがります。もし、ブレーキをかけたとしても、温暖化にブレーキがかかるのは、かなりの時間を要する事になります。

 

2007年9月にオーストラリアで開かれた「国際ペンギン会議」では、野生のペンギンに関する最新のデータが報告されました。その結果を総合すると、近い将来、現在18種類いるペンギンの三分の一が絶滅するだろうという予測が可能です。そこで、専門家の多くは、できるだけ早く、野生のペンギンを加速する温暖化と絶滅から守る有効な対策をたてる必要があると主張しています。

 


これからの動物園や水族館は、ただ生き物を観て楽しむだけの施設ではなく、温暖化対策の核となる施設だという意識をもって、絶滅しそうな生きものを積極的に守っていく施設とならなければいけません。この点で、欧米の施設は何歩も先んじています。日本もできるだけ早く、本格的な対策を講じるべきです。

 

増え続ける人間と
とまらない温暖化、
減り続ける生物。
90億人になる私たちひとりひとりが
どのようにバランスをとって生きていくのか
問われる時代がやってきました。